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ビブリオゲームズBlog

自作ボードゲームや遊んだボードゲームのことを書いていきます

Making magic翻訳記事 10の心理的障壁その1

カードゲーム(TCGを含む) 翻訳記事

 今回の記事は2008年に掲載されたDesign seminar : The 10 mental locksを英語の勉強がてら意訳したものです。かなり久しぶりに英語の記事を読んだため思った以上に時間がかかってしまっています。

 冒頭の文章は省略し、10個の心理的障壁に関する部分だけを少しずつ翻訳(意訳)していきます。

 

1 誰かはそれを好きにならない

 最初の落とし穴はデザイン時に感じる「カードをより魅力的なものにしなくては」という物だ。たいていは作者が当初のターゲット以外の人たち向けの改善方法に気が付いた時に起こる。この思考プロセスは「少しの犠牲でこのカードの一般的な魅力を増加させられるのでは?」という物だ

 

 この考えには問題がある。多くの場合、これらの「小さな犠牲」がこのカードの元来のターゲットであった人達にとっての魅力を薄くしてしまう。もちろん、そのカードを好きになりうる人を増やす事にはつながるかもしれない。でもそれ以上にそのカードを心から気に入ってくれる人を減らしてしまうのだ。デザイナーの仕事というのは全てのカードを全ての人が好きになるように作る事ではなく、全ての人に何枚かのお気に入りを作る事なのだ。マジックには無数のカードがあるが全てのカードは全てのプレーヤーを幸福にするわけではない。

 

 デザイナーにとって本当のゴールはそれぞれのカードを意図したとおりの魅力を持った状態である。あるカードが一部のプレーヤーを幸せにしなくても(たとえ、不幸にしたとしても)他のカードがそれを補ってくれるから心配しなくてもいい。カードの価値はターゲットにした人にこそ決めてもらうべきものだ。彼らを幸せにすることが出来たならそのカードはもうしっかりと役目を果たしているのだ。

 

 勘違いが出ないよう追記をしておく。私はカードの魅力を広げるデザインが出来ないとは言っていない。ただ、それは当初のデザインどおりに完成してはいない。

クロノスレコードのカードの知られざる歴史 その1

Chronos Record ゲームデザイン コラム カードゲーム(TCGを含む)

 I was Gameさん(ヴォーパルス、ダンジョンオブマンダムなどのサークル)の翻訳記事の一つ『ドミニオン』のカードの知られざる歴史が好きで何度も読ませていただいています。

 

 どこまで有用かはわかりませんが自分の場合はどう考えたかを書き留めておくことにしました。今回は騎士、貴族、道化師、契約の悪魔の4枚です

騎士

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 最も基本な能力なしのカード. 非常に珍しいルールを採用しているクロノスレコードに置いて『安心して気楽に出せる』、『他のカードの強さの基準』となるという役割を果たしている。

 

 開発開始当初は『能力が強い代わりに点数が低いキャラクターとの差別化』という理由で勝利点3だった。しかし、『計算をスムーズにする』、『本当に褒めるべき時にだけ獲得点数を2ケタにしてテンションをあげる』という理由で勝利点2へ変更されている。

 

 名前として騎士を選んだのは、①イラストとしての差別化が容易だと考えたため。②名前をKで統一しようとしていたころの名残。(例えば、白魔術師は強化魔導士という名前だった)

貴族 

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 立体エリアマジョリティーは、配置したエリア以外の票数を増やすことが出来る。これは楽しさの核でもあるが、他のプレーヤーの意思(狙っているエリア)が伝わりにくい部分がある。そこを補強し、序盤からエリアマジョリティーを意識した潰しあいを煽る事が目的の一枚。イラストも確か『むかつくヒゲ』という注文をした記憶がある。

 

 作者はかなり信頼しているため、長らく3枚入れる予定だったが、『あまり枚数が多いと一つのシートに固めて打つだけの人が増える⇒透けない』という指摘を受け2枚に。

 

 また、文章が2重否定になってしまいわかりにくくなってしまっているのは反省点。ようは『単独一位の時+2点』。最後まで調整しようとしたのが仇になった。エンバグ怖い。

 

道化師

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 先手不利解消その1。最初のゲームでは最も新参者のカード。元々は『スタートプレーヤーを奪う』という効果で名前は海賊だった。

 騎士と同じ勝利点2になっているのは(最終ターンまで残すのではなく)早いタイミングで出すことを選択肢に入れてもらえるようにという意図。バッティング無効も同様の意図である。

 

 契約の悪魔

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 コンボ要員&アクセント。潰された方がいいカードの存在はゲームに大きな変化を与える。好む人も多かったので、数値が-3から-2へと変化した以外は最初から全く変更なし。

 

 相手の色を使うというルールの方は元々『勝利点-2 このカードで失点した時、青のプレーヤーはその半分を手に入れる。このカードで得点した時、青のプレーヤーはその半分を失う』という効果の『工作員』というカードだった。少ないカード枚数でできる限りの変化を出すために、1枚のカードにまとめる事になった

 

クロノスレコード2人用バリアント

Chronos Record

 年が変わってしまいましたが、クロノスレコードの2人用ルールを公開します。

 

<準備>

 1.2人のプレーヤーは使う色を選びます

 2.ファイルにに9ポケットシートを2枚入れます。

 3.下のページの左下と右上に【騎士】のカードを入れます

 4.各プレーヤーは秘密裏に使うカード7枚を選びます。この時、同じ名前のカードを2枚選ぶことはできません。

 

<ターンの流れ>

 2人用ゲームは6ターンで行われます。

 基本的に通常ゲームと同じですが、ダイスの目が1,2,3の時は下のシート、4,5,6の時は上のシートを計算します。

 

<ボーナス計算>

 ゲーム終了時のボーナス計算(エリアマジョリティー)も少しだけ変更があります。

 下のページで勝つと6点、上のページで勝つと9点を得ます。同数の場合、誰にも点数が入りません。

 

 

答えが明確すぎてつまらないゲームを面白くする9つの方法

ゲームデザイン コラム ボードゲーム

1.面白くないゲームにも面白さは眠っている(前置き)

 極端な例として2×2マスの○×ゲームを思い浮かべてみよう。これはゲームだろうか? おそらく、ゲームではなく、先手が(必死に負けようとしても)勝つただの作業になってしまっているだろう

 

 ここまでひどくはなくとも、作ったゲームが『何をやればいいかが明確すぎる。面白くない』と言われてしまう事はある。ここで難しいのは面白くないゲームが面白くなる見込みがないとは限らないというところだ。

 

 例えば、上の○×ゲームを複雑にした五目並べやその発展形である連珠は十分に面白い。これは、縦横斜めいずれかにXマス並べたら勝ちというルールが ①非常に理解しやすい、②実力差が出るテクニック(先読み、相手を止めつつ自分の手を進める手を考える等)がある、勝者が決まった時に誰が見てもそれがわかる 等の点で非常に良いからだ。

 

 そう、上の2マス○×はゲームではないにせよ、ゲームとしてのポテンシャルは持っているのだ。同じように作ってしまった『明確すぎて面白くないゲーム』にも実は面白さのポテンシャルが眠っているのかもしれない。残念なことにもちろん無いかもしれない。

 

 前置きが長くなってしまったが今日の記事は『眠っている気がする』と思った時ように『ゲームをわからなくする方法』の大枠をまとめたものである。

 

2.ゲームをわからなくする9つの方法

鎌倉想像工房 |ゲームをつくるとは最適解の消失である

 2年も前の記事ですが『ゲームにはわからないが必要である』という事を書いた良い記事。

 この記事でいうところの最適解を無くす方法(僕の言葉でいえば導入すべき『わからない』)は大きく分類すると以下の9個しかない。

  1. だからわからない (ダイス、山札等の乱数発生器)
  2. 他人の思考なんてわからない(格ゲー等の読みあい、嘘等)
  3. 情報不足でわからない(非公開情報)
  4. 記憶しきれないのでわからない
  5. 知識不足でわからない(クイズ、定石)
  6. 複雑すぎてわかるに至らない
  7. 時間がないためわかるに至らない
  8. 動作が精密である事が要求されるため、うまくかない
  9. 番外(ゲームは分かるが続きのストーリーがわからない)

 

  単純に言えば、これらをうまく追加してやれば問題は解決します。○×ゲームの亜種として製品になっているものでいえば、②相手路線で相手の置く場所を予測すれば妨害できるもの⑥複雑路線でルールを追加し、盤面を大きくしたもの、⑧動作路線で輪投げと合体させたもの等がある。もちろん、作るゲームのターゲットやプレイ感、基盤となるシステムとの相性を考えて何を加えるのか、どう加えるかを考える必要がある。

 

 もちろんいきなりは難しい。僕の場合は、自分の使おうとしているゲームシステム(≒ジャンル)がどのわからないを基礎としているかを把握する事から始めた。

 アナログゲームのジャンルでいえば、

  • ダイスは①運
  • ブラフやバッティングは②他人
  • ワーカープレイスメントは②他人⑥複雑
  • 記憶ゲーは④記憶
  • 人狼系は③情報②他人、状況により⑦時間
  • ハグルは③情報⑦時間、作者により⑥複雑、参加者により②他人(嘘等)

 を含んでいる。 デジタルゲームでいうならアクションは⑧操作をベースに⑦時間、他の娯楽でいえば早押しクイズは⑤知識⑦時間あたり。

 ゲームをわからないという観点から分解してみていきましょう。『ボーナンザの順番固定の手札はぷよぷよの予告スペース(ネクネク)に③情報のわからないを追加したものだ。山札の亜種としてこのゲームに使ってみよう』とか『ファウナというゲームはルーレットの①運を⑤知識に置き換えたゲームだ。他のギャンブルゲームにもクイズ要素を入れられないか』とか考えながら楽しく遊んでいればいいんじゃないかなぁと

 

 あとがき&次回予告

 『全くもってわからない』のも何をしても報われないという意味で作業となります。調度いい塩梅が大事って事ですね。

 ダイスゲーで『運すぎてわからない』場合は、振り直し等で予測しやすくする。 エリアマジョリティーで『相手がどこに行くかわかりにくすぎる時』はエリアごとに点数差をつける事で思惑を予測しやすくする等、9つのわからなすぎるを抜かずにマイルドにする手法はいくつかあるようです。

 

 考えがまとまり次第記事にします。

GM2014秋作品レビューその1 パイレーツコード(かぼへる)

プレイレポート 感想

サークル:かぼへる

筆者プレイ状況:4回(基本のみ) 3人プレイ

 

 カード14枚(4人プレイは18枚)を使った記憶型の推理ゲーム。誰にも配られていない2枚のカードを当てるのが勝利条件。

 

 記憶型の推理ゲームには通常、『予測して外した』というルール上脱落と『うっかり情報を忘れてしまった』という勝敗上の脱落があり、それを理由に嫌っている人も多い。正直、僕もその一人である。しかし、パイレーツコードはその心配がない。『予測した2枚のカードを持っているかを順に言っていく(外してもペナルティーなし)』というルールが前者を完全に消し、(人の予測等から少しは予想できるため)後者を程よく緩和してくれている。

 

 最後まで『自分のターンが回ってくればワンチャンスはある』という積極的な気分でプレイできる良いゲームだった。そして、その後、『くっそ、もう一回だ』と2ゲーム目を始めた。

 

 2ゲーム目を始めてこのゲームのリプレイ性の高さを感じた。このゲームのカードに割り振られた5種類の効果は、ゲームの多様性を生むだけでなく、推理の要素にもなっている。(あれ、何で誰もあの効果を使ってこないんだ?⇒埋まってんじゃね?的な)1度目は数字や効果を覚えるのに必死で皆、てんやわんやしていたが、最後の4回目にはブラフをかます人まで出てきた。拡張やプロモカードを入れてのプレイはまだできていないが、今から楽しみ。

 

 ゲームシステムの話ばかりしてきたが、かわいいドット絵も魅力的。取説、サマリーも丁寧でボードゲーム初心者にも安心してお勧めできる。

これはやっておくべき。GM2014秋新作

プレイレポート 感想

1.ひつじとどろぼう
 spec: 2~4人、約30分

 サークル:Power9Games(E41,42)

 内容: タイル配置+ドラフト
 筆者状態:テストプレイ版プレイ済み.ただ、その後得点計算に変更があった模様。

 

 ドラフトしたカードを配置していくありそうでなかったゲーム。覚えるべきアイコンは4つのみとゲーム慣れしていない方でもプレイしやすい。その一方で『家から町へ道をつなぐ』、『川をつなぐ』、『ひつじを増やす』、『どろぼうによる妨害』、『それへの対応』等考えどころは多い。初~上級者まで楽しめる良いゲーム。

 ドラフト部分の計画性と狂った後の計画調整能力が問われる。あるカードをカットする事が防御にもなる等2つのシステムが思った以上に繋がっているのも〇。

 コンポーネントのひつじ駒やタンサンさんのアートワークもなんかかわいい。

 

2.ヴィラネックス~合併競技会~

 spec: 1~4人、5~10分

 サークル:こげこげ堂本舗(F02)

 内容:フィラー(超短時間ゲーム)

 筆者状態:2回プレイ済み(3人)

 

 最後まで残した2枚の手札で点数を競い合うというかなりとがった短時間ゲーム。プレイした時は5分強で終わりました。

 このゲームを成立させているのが『配れらた6枚の中からまずは2枚を捨て、残った4枚選び全員で見せ合う』というルール。相手が残すであろう高得点の組み合わせを読んだり、得点に大きな影響を与えるカードでの誘導、牽制したりと色々な読み合いが発生する。

  1人用ルールまでついているようなのでそちらも期待。

カードゲーム制作の基本1:ドローの強さ

カードゲーム(TCGを含む) ゲームデザイン コラム

 ドローするためのカードは非常に多くのTCG、テキスト系カードゲームで採用されている。理由としては

①ゲーム進行による選択肢の減少を防げる

②コンボデッキ等特定のカードを引かなくてはならないデッキを助けるという効果がある

あたりだろうか

 

 ただ、(主に同人の)カードゲームをプレイしていると強すぎるドローカードに出会うことがある。 そして多くの場合、戦術性、競技性という点で面白さが減少していたり、運ゲーと言われていたりして正直ちょっともったいない. そこで今回は自分の頭の中の整理もかねてその強さを理由つきで説明していく.

コスト無し複数枚ドローの強さ

 MTGにAncestral Recallというカードがある。その効果は『コスト1 カードを三枚引く』というシンプルなものである。 しかしこのカードはPower9(マジック黎明期におけるあまりに強大な力をもった9枚)の一角、つまりは非常に強すぎて禁止カードになっているのだ。

 

 この強さを説明するために、共通山札を使う架空のゲーム『ボクシング』の開発過程を考えてみよう。

 このゲームでは 手札にあるカードはノーコストで何枚でも使う事が出来る。開発はカードの強さを評価しながら進められており、『右ストレート』という威力10のカードが山札全体の平均的な強さと判断されているとしよう。 ここに『セコンドの指示』という『山札から3枚ドローする』カードを1枚だけ追加した場合、このカードは右ストレート何回分の威力だろう?

 

 単純に考えれば、右ストレート3発分である。その上、コンボが出しやすくなる、選択肢が増える等のメリットまで考えれば5~6発分にはなりえる。非常に残念だがこのゲームに関していえば、『セコンドの指示』はボツにした方が良いだろう。もし、あなたのゲームがノーコストでカードを使えるなら同じことがいえる。

 

カードレベルでの調整

 逆にいえば、コストがある場合は調整可能である。上で例に挙げたMTGの場合は、カードを使うのにコストがある。なのでコストを4に上げて調整した3枚ドローカード(集中)は存在する。また、ドミニオンの鍛冶屋はアクションポイントを消費する上、ターンの最後には手札がリセットされるので使用禁止になるほどの強カードにはなっていない。

 また、遊戯王において強欲な壺(カードを2枚引く効果)は禁止カードだが満たすべき条件やデメリットを付けた下位互換のカードは存在する。

 

ルールレベルで調整を試みる

 ゲームのルール上、カード消費が激しい、特定のカードを絶対に手に入れさせたいといった理由でドローカードを採用しようとしているなら、ルールレベルでもっとカードが引けるように調整した方が良い。カードを作るときにシステムの弱点を意識する必要があると正直疲れる。

 従来のTCGに採用されているルールには以下のようなものがある

  • バディファイトにおいては1ドロー後に手札を1枚捨てればもう1枚引いてくることが出来る。他に単純に2ドローのカードゲームも多数存在する。
  • デュエルマスターズではダメージを与えられたときにカードを1枚手札に加えることが出来る。
  • MTGの統率者戦等では、手札とは別に常に使う事の出来る領域が存在する。また、いくつかのTCGのデジタルゲーム版では最初の手札に絶対に来るカードを設定することが出来るものがある。
  • 極端な例であるが、アルテイルにおいてはデッキは全て手札である。展開が同じになるのを解消するために、デッキの半分は全て手札もう半分は除外というルールを採用したTCGも存在する。
追記

 上に書いたことを当たり前のように知っている人でも、手札を消費せずに使える(≒捨て札から使える)カードは軽く見すぎてしまう事がある。

 例えばMTG獣群の呼び声というカードがある。これはパワー3、タフネス3のクリーチャー(ようするに中型の戦闘要員)を1回目はコスト3、2回目はコスト4で出すカードである。コスト3でこのようなクリーチャーを出せるという効果は大会で使うには少し物足りない。しかしテンポよく2回使えるという点が評価され多くのプレーヤーに使われた。

 

 何回でも使える場合、これよりもさらに強くなる。例えばMTGにブーメランという2コストの呪文がある。これに『使った後手札に戻ってくるようにできる』効果を追加したカード転覆は6コスト(正確には3コストで捨て札に置くか6コストで手札に戻すかを選択できる)である。