『基本根本 第一回』のアバウトな翻訳(旧Blogから転載)
今週はMTGの開発コラム『Makingmagic』にて年一回のコラム『基本根本』第五回『繰り返し』の日本語訳が公開されました.
閉鎖予定の旧ブログにて公開していた『基本根本 カードコード』の意訳をこちらのBlogに転載しておきます
テレビで放映される犯罪の95%は重罪で,軽犯罪は残りのたった5%しか放映されない.現実の比率はいうまでもなく逆なわけだけど,なぜこんな事がおきるんだろう?そう、「殺人」は「信号無視」よりいっそうの切実なストーリーを紡ぎ出すからだ.人間はこれによって”世の中は危険だ”という偏見を持ってしまうけれどね.
冒頭でこんな話を持ち出したのは,「同じような誤報の罪」を感じたからなんだ.私は,色の哲学やカードの設計に関して話す事に多くの時間を費やしてきた.これらは必要不可欠なのだけれど,実際費やす時間の中の割合で言えばほんの極わずかなものだ.大部分の時間は細やかな詳細に費やす.例えるなら家を建てるときに建築家が費やす時間よりも建設者が費やす時間の方がずっと多い.多くの時間は壁を塗ったりとか,釘を打つこととかそういうことに使われるんだ.カードの設計もそういうものなんだ.
■カードコードの解読
今回はカードコードをテーマに話していく.カードコードは「プレイテスト用カード」に書いているコード(文字と数字の組み合わせ)の事だ.これは,さっきもいったとおり「地味」ではあるが,必要不可欠なプロセスだ.
■カードコードって何だ?
カードコードは文字と数字,具体的にいえば2文字とそれに続く2桁の数字で表される物で開発部を初めとする会社の部署において特定ののカードの区別がしやすいようにつけるものだ.
■なぜ必要なのか?
発売後のゲームプレイにおいて,特定のカードを示すのにカード名(card title)を使う.もし,コスト?(緑)の緑色のインスタントで「対象のアーティファクトか円ちゃんとを破壊する」という効果を持つカードの事を話したいなら,「帰化」を使うだろう.こういうことができるのはカードが絶え間なく印刷されているからだ.「Naturalize」は常に同じ物をさす.(エラッタ出ることあるだろ?と言いたくなる方もおられると思うがここはスルーしておいてくれ).でも設計,開発段階においてはそうじゃない.カードはころころと変わってしまうんだ.
■1文字目
一文字目はカードのレアリティーだ.製作段階において レア度によって違う場所に行き着く傾向にあるため、これは重要だ.だからカードコード の最初の機能は皆にカードのレアリティーを知らせる事になっているんだ. ところでマジックには何種類ののレアリティーがあるかわかる?
コモン、アンコモン、レアの3種類?―違う.神話レアを忘れてないか?
じゃあ、4種類?これも違う.大体のマジックのセットは4つじゃなく5つのレアリティーからなっている.5つ目は何か?そう、コモンより普通な存在"基本地形"だ
<略>
そう、今のところマジックのカードコードには7種類のレアリティーが存在する.
- C-コモン
- U-アンコモン
- R-レア
- M-神話レア
- L-土地
- S-特殊なカード
■2文字目
2個目の文字は何を表しているのだろう? カラーじゃないかって? 残念ながら違う.2つ目の文字が表してるのはカードのフレームだ.2文字目はプロダクションの人々にどんなフレームが必要か伝えてくれる.
カードフレームはαの頃に比べて複雑になってしまっている.多色のカードが増えた野はともかく分割カードに関してはこのコードを見ただけじゃわからなくなっている、それでも,少なくとも大まかなヒントにくらいはなっている.
以下が現在2文字目として利用する事ができる文字だ
数字部分の説明に行く前に、「何で青がUなんだよ」という当然出るであろう疑問について説明しておきたい.理由は一言で言えば他とかぶって しまっては意味がないからだ.Bにすると黒特別がつかない.二文字目のLにすると土地と区別がつかない.黒の方を変えるにも"C"とか"K"にまで行かな くてはいけなかった.
■2桁の数字
番号には次に様な単純なルールがある
#1 2桁でなければならない
このルールがある理由は単純で、「情報の欠落がないかすぐにわかるように」である.もしCW1というカードを見たら、白でコモンのカードの1つめなのか、それとも例えば10の0を書き忘れたのかがわからない.
#2 番号は絶対に01からつける
番号は特定の色,レアリティーのカードが何枚あるか知らせてくれる.大きな番号のついたカードはそのカテゴリーのカードが多数存在する事を教えてくれる.この情報はデザインや開発において日常的に使用される.
#3
長い間,例えば白いコモン12枚をどの順に並べるかは自由としてきたし,これで特に問題はおきていなかった.ただ、例外的に以下に述べるような細かなルールがある
A クリーチャーカードはノンクリーチャーカードより番号が若い.
開発、設計において何枚のクリーチャーがそのカテゴリーにあるのかを絶えずチェックすることになる.これを容易にするために、クリーチャーを最初の方に固めている
B サイクルのカードは同じ番号を持つ
サイクルカードを見つけやすくするためのやり方として、同じ番号を与えている.例えば、1/1のコモン(ようは、それぞれの色1マナで出 せるクリーチャーのサイクル)は全て01という番号を割り当てたりしたんだ.ただ、このルールに関しては厳守じゃあない、まぁ最も可能な限りはやってきた けれど.色によってクリーチャー,ノンクリーチャーの割合が違ったりすると、上で説明したルールAとの兼ね合いで,僕らの頭痛の種になるんだ.
C 一つのナンバーにどのカードを当てるか考える事がある
「この2つのカードはこのセットにどちらかしか入れられない.」という意図を伝える目的で研究開発部(R&D)は複数のカードを一つのカードコードに入れることがある.「このカードは似ているぞ」というコメントをリードデザイナーに発信し続けているんだ.
D クリーチャー、ノンクリーチャーの中でもマナコストが低い方から並べる
これも常にやっているわけではない.ただ、これを心がけるととセットのマナカーブ(コストごとのヒストグラム)を見ることが容易になるんだ.
E 同一フレーム内のみで構成されるサイクルのカード(アーティファクトや土地)は WUBRG(白青黒赤緑)順で連続して並べる.
<補足:同一フレーム内のみで構成されるサイクルのカード とは ようするに「サイクリングを持つ土地」とかそんな感じのやつ>
<<以下R&Dによるファイル編集後につける特別な番号の説明がありますが,小グループでカードゲーム作る上では必要なさそうなので省略>>