脳からみたゲームデザイン 選択肢の数の話
私の大学での専攻は脳科学ではありません. ただ学科の方針の関係上、授業を受ける程度には脳科学に触れる機会がありました. 今日はそこで聞いたことのうちゲームデザインに使えそうな事とそれを踏まえてどうゲームを作っているかを書いていきます.
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いきなりですが、以下の数字を覚えてください
80810298101028105298
『八百屋と肉屋と豆腐屋と呉服屋』←ここはまだ見ないでください
覚えられましたか? おそらくほとんどの人が覚えられなかったんじゃないかと思います.では下の鍵かっこの中に白い文字でヒントが書いてあるので見てください. 今度は覚えられたんじゃないでしょうか?
これは『脳が5~9本の手を持っている』からです.人間が同時に扱える情報(短期記憶に入れられる情報)は5~9で、訓練等により変化することはない(あるいは稀)と言われています.ただ、工夫したり、情報を整理したり、経験を積み重ねたりする事で一つの手でつかめる量を増やすことはできるのです.
これを意識しているためか、私のボードゲームのルールは ①2~5つの選択肢を持つ問題を、②毎回必ず、③複数個提示する. ④複数の選択肢がある程度関係を持つという特徴をもつ物が多いです.
- ①によって選択肢一個一個で考えれば、簡単に処理できるようにしつつ
- ③,④で複数の問題トータルで最も良い手を考えれば少し悩ましい問題にする.(5択×4択で20択 的な)
- ②によって思考に使うべき『手』をルール把握に回させるのを避けつつ、同じ経験をさせて慣れさせる.
というのが思惑です.
GM春にだすChronos Recordも毎ラウンド必ず『出すキャラクターカードの決定(たいていの場合2~5択相当)』と『配置するか場所の決定(分解すると2~5択相当の問題になる)』の2つの意思決定をするゲームです.
キャラクターカードは最初8枚持っていますが種類に重複があります.『最初のゲーム』と呼ばれる構成であれば6種類です.少しオーバーしてますが、明らかに出すタイミングではないカードもあるので実質5択以下. 最後は2枚(偶に3枚)から選ぶのでだいたい2択以上となります.
『配置するか場所の決定』は一辺に考えれば選択肢の多い問題です.(ゲーム開始時点では33個のポケットが空いているので33択です)しかし、この問題は分解して考えることで事もできます.例えば以下のような事を考える事になるでしょう.
・『どのページに入れるべき?(4択)』、
・『誰を止めるべき?(2択)』、
・『真上にカードが置かれていない1位のプレーヤーのカードは○枚、どの上に置く?(理論上0~6択だけど、ほぼ2~4択)』
長くなりましたが、まぁ、こんな事を考えながらゲームのβ版を作っています.
そのあとはプレイで数値をいじったり、特殊能力を考えたりして調整していく感じですね.