ビブリオゲームズBlog

自作ボードゲームや遊んだボードゲームのことを書いていきます

Chrnos Record 世界観、モチーフ重視の説明

 ゲームをプレイする方にもいろいろな方がいます.とあるゲーマーに興味を持ってもらったインストも相手が変わればいまいちな反応が返ってくることがあります.

 予約も開始したので、説明書公開ではカバーしにくいモチーフ重視の説明を書いてみることにしました.

 

 クロノスレコードの世界観はファンタジー世界. 騎士白魔術師ドラゴン等テレビゲームでも人気のキャラクターが活躍する世界です. 

 

 キャラクターはカードとして登場します↓

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 あなたを含むプレーヤーは王様となり自国の歴史を最も輝かしいものにする事を目指します. 独特なのは王様たちが『魔法で過去に味方を送りこみ、歴史を改竄する』という手段を選んだ事です. 王様たちは自分の改竄の成果と相手の改竄による被害を歴史書に書かれた内容が変わるのを見て知り、次の一手をうつのです.

 

 このゲームではバインダーを歴史書に見立てています.4枚挟まっているシートは4つの時代(下ほど古い時代)をその中のポケットは領土を表しています.

(写真はテストプレイ版のものです.また、実際のバインダーは透明です.)

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 上の写真のような状態では(シートが透明なため)どのページから見ても3色のカードが1枚ずつ見えます.これは『どの国も侵略や領土拡大を行わず、平和に暮らしました』という本来の歴史を表しています. 

 

 プレーヤーはキャラクターカードを空いているポケットに挿すことで歴史を改竄します.

 

例えば

赤い国の王様『私の国は古くから大国だったのじゃ』とか

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(1番下のシート上中にカードを入れて、全てのページから2枚の赤いカードが見えるようにする)

 

その真上にカードを挿して

青い国の王様『大国だったのは最初だけでしょう? 次の時代にはうちが侵略しましたよ』とか

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(1ページ目から見ると赤いカードが2枚見えるが、それ以降のページからは1枚しか見えない状態にする)

 

 他にも黒魔術師で敵の主力に呪いをかける(書かれた数字を-1倍にする)、白魔術師に味方の主力を強化してもらう(書かれた数字を2倍する)等いろいろな歴史改竄ができます

 

 7回起こる大きな戦争においてより高い戦果を出す事(毎ラウンドランダムで選ばれるシートの上から見た合計点数が高いこと)と最終的に各時代の覇者となる事(ゲーム終了時に各ページで1番多い枚数が見えていること.ゲーム用語でいえばエリアマジョリティー)が点数に繋がります.

 

 Chronos Recordの売りを3つだけあげるなら以下の3つ. 気になった方、質問がある方は@Biblio_Gamesまでお願いします.

 

 ・モチーフ、コンポーネント、ルールの一体感

 ・手軽さと深さのバランス

  ⇒考えるべきことは多いけど、やることはカードを選んで配置するだけ

  ⇒カードは10種類.使うカードを変えれば、コンボ要素を取り入れたゲームも、そういう要素の全くない最小4種類のゲームも可能.

 

 ・ユニークさ

  ⇒独特のジレンマ

  ⇒立体陣取り+カード特殊効果という珍しいジャンル

ChronosRecord 予約取り置きは締め切りました

 

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 カードが届いていないので少し早い気もしますが、予約取り置きを開始させていただきます.価格は1600円(GM初出展記念価格)です. 

 

3人用 立体陣取り+カード特殊効果

プレイ時間:2~30(インスト15分)

 

 予約取り置きを希望される方は5/24までに以下のいずれかの方法で連絡をお願いいたします.

  思った以上に予約をいただいております. 誠に勝手ではありますが、予約が40部に到達次第、締め切らせていただきます.(5/7現在20個)

 5/24に40個を超えましたので予約を締め切らせていただきました. 当日販売は50強程度を予定しております.

twitterを使う場合

@Biblio_Games をフォローしたうえでリプライまたはDMにて

・お名前(ハンドルネーム可)
・希望する個数

を書いて送ってください.

DMにて受付番号をお伝え致します.

(相互にフォローしていないとDMが送れないので)

 

②メールを使う場合

kose_kazuhito☆yahoo.co.jp(☆を@に変えてください)まで記の項目を書いて送信してください

件名『GM春取り置き希望』

内容

・お名前(ハンドルネーム可)
・希望する個数

を書いてメールを送信してください

 

・こちらからの返信がない場合、申し訳ありませんが、再度ご連絡くださいますよう、お願いいたします。

・当日はお名前と予約番号をブースのスタッフにお伝えください.

・予約数は原則お1人様3個1個までとさせていただきます.

・特にご事情の無い限り、取置きは午後2時までとなります.午後2時を過ぎた場合、取置きはキャンセルとし、当日販売分と致します。(予約時にお伝えいただければ対応いたします。)

 

実際の説明書をゆっくり読みたい方はこちら.

テストプレイ版の写真を見ながら概要をつかみたい方はこちら

 

 ・キャラクターカード45枚

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 ・得点ボードカード9枚

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 ・ルール説明書

 ・A4バインダー(透明)TCG保存用ファイル6枚

 ・木製サイコロ1個(色はランダムです.)

 ・得点駒3つ

(箱はありません、バインダーが箱兼ボードとなっております.)

 

当日はよろしくお願いいたします

『Cronos Record』のデザイナーズノート その1

 今回の作品を作っていく中で、遊星からのフリーキックさんやスパ帝国さんの本にはお世話になりました.参考になるかはわかりませんがデザインをするうえで考えたことを書いていきます. 

 

 Chronos Recordがどんなゲームかはこちらをご覧ください

1.人とは違うものを

 2012年春、作っていたドミニオンクローンを全て捨てました. 自分が惚れ込んだのはドミニオン自体ではなく、概要を聞かされた時のワクワク感(『ゲーム中に相手の様子を見ながらデッキを作る? なにその斬新なの、絶対面白いやん』)である事に気づいてしまったからです.

 『何それ?面白そう』. 軽く説明するだけでそういわれるような斬新なゲームが作りたい.そんな気持ちで新作作りはスタートしました.

2.最後の一つ

 『斬新なものが作りたい』とは『目の前に解くべき問題がないこと』自体が問題という厄介な状況です. 縛りがないのは逆にきついので『TCG関連から発想すること』というルールを設定していました.

 その後、MTG遊戯王アルテイルなど色々なTCGを参考にデザインメモを何案も書いていきました.進展があったのはGWが終わるころ、『何かヒント書かれてないかな』と仲間とTCGを作っていたころのwikiを見ていたときでした. 僕がその斬新さに嫉妬した数多くのTCG. その中で唯一名前がメモに登場していなかったのが『金色のガッシュベル The Card Battle』と『ウズマジン』でした。

 

 こうして『斬新なゲーム』という不明確な目標は『ファイルをうまくモチーフに絡めた上でコンポーネントとして使うTCGのようなボードゲーム』という具体的なお題に切り替わりました.

 

3.TCGとしてのスタート

  差別化として思いついたのはファイルの中身の変更でした.ガッシュベルは1ページにつきカード1枚ですが、TCGの保存シートなら3×3の9枚を1ページに保存できます.

 (↑こういうやつです)

 

 3×3という配置は前衛、中衛、後衛という要素に当てはめやすく、TCGプレーヤーの好むバトルにしやすいと判断したからです.

 

 第1案の方向性は以下のようなTCG+パズルものでした.

  1.  ファイルは一人一冊. 自分のキングを含め全てのカードを配置しておく.
  2.  各ページに入れられるカードのコスト合計は決まっている.
  3.  毎ターン見えている相手に攻撃を仕掛け、倒せばファイルから抜く
  4.  一番上のシートに4枚以下のカードしか入っていない場合ページがめくられる
  5.  最終ページにあるキングをファイルから抜いたら勝ち.
  6.  同じシートに入れられるカードの制限がいくつかあり、それによってキングの位置を推測可能.
  7.  抜かれたカードの真下にトラップカードが入っていれば発動する

 

 いくつか基本になりそうなカードを作り、上のルール6に当たる「制限」をどうすれば面白くなるかカードを抜いたり挿したりしながら試していました.

 その結果、わかったことは『カードはどんどん入れていく方が面白い』という事でした. 『どのページにカードを挿すか』という問題は独特のジレンマを持っていたのです.(実際にプレイして、気づいていただきたいので詳細は伏せます)

 

 お題は『いかにこのジレンマを楽しませるか?』に代わりました. 毎回同じものを使ったほうが調整しやすいと考え、新作はTCGからボードゲームへとジャンルを変えました.

ゲームマーケット2014春 『Chronos Record』ルール説明書公開

twitterの方でゲームの説明書を公開したのでこちらでも公開しておきます

Chronos Record 説明書

 

わからないことがあったらコメントか@Biblio_Gamesまでお願いいたします

 

P.S.

ゲームデザイナーとしては 古瀬 和人(Cose Cazuhito)を名乗ることにしました.

ゲーム会などには今まで通りの名前で参加すると思います

 

ブース決定

Biblio GamesのブースはH27に決まりました. 

ゲームマーケットも気づけばあと約1か月強. 情報を少しでも多く発信していきます.

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ブースH27はだいたい矢印のあたりです. 箱ではなく、ファイルの形で頒布しているブースはそうそう無いはずなのですぐに見つかると思います 

 

 

 Chronos RecordはパッケージがA4ファイルなので本棚にわずかな隙間があれば収納可能です.収納スペースが気になる方も安心してお越しください.

ドロマイワークショップから教わった7つのこと ~なぜたった4時間でなんだかんだゲームができるのか(その1)~

 ドロッセルマイヤーズワークショップという『4時間でボードゲーム制作を体験する』イベントがあった. ボードゲームを題材にしたゲームデザインのワークショップはいくつかあるが、以下の点でかなり独特な会であったと思う.

  1.  ゲームデザインについての講義は基本的に無い.
  2.  グループや個人ではなく全体で一つのゲームを作る
  3.  テーマが与えられ、そこからゲーム性を見つけ出すところから始める
  4.  発言はすべて挙手、決定はすべて参加者の多数決で行わえること.

 

 これらは一見ゲーム作りのセオリーから大きく外れて見える.実際、主催者である渡辺店長も毎回『本来、ゲームは誰か一人の価値観で作った方がいい』とおっしゃっていた. しかし、実際参加してみると他のワークショップに比べ、面白いゲームや粗削りだがユニークなものができていた.今日、この記事で書きたいのは『実はゲームデザインのセオリーを守っていたのでは?』という事だ. 

 

■□■コンセプト決定までのセオリー■□■

①全員を参加させるということ(今回はここまで)

②要素を洗い出してから核となるものを決める事

■□■プロトタイプまでのセオリー■□■

③ブレスト中は人の意見を否定せずのっかるという事.

④最低限の要素、数値から始める事

■□■テストプレイでのセオリー■□■

⑤一度のテストプレイで決めつけないこと

■□■改善のためのセオリー■□■

⑥ブレないよう『何が大事なのか』を書き留めておくこと

⑦問題点を意識し、それに合わせた改善案を出すこと

 

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ゲームマーケット春新作『Chronos Record』 カード紹介その1 騎士と貴族

6月1日に開催されるゲームマーケット春にて、Chronos Recordを頒布する予定です.

 Chronos Recordは歴史改竄をモチーフにした立体陣取りゲームです.『TCG保存用のファイルにカードを挿していく』という特殊なシステムを『魔法で歴史(書)を改竄していく』という動きに見立てています.他のプレーヤーの動きも見ながら、できる限り自分のカードが多くのページから見えるように置いていくインタラクション強めの陣取りゲームです.

(参考 前の記事

 

 ただ、単に良い領地を得るだけではこのゲームに勝つことは難しいでしょう.勝つためには個性豊かなキャラクターカードの特性を理解し、よりよい順番でよりよい位置に出していく必要があります.

 そこで、今日から4回に分けてカードの効果を実際のイラストとともに紹介していきます.第一回目の今日は騎士、貴族という2枚をカードの見方から説明していきます.

 

カードNo.1 騎士

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 上の絵が騎士という最も基本的なカードです.このカードを含め、大抵のカードには名前見えたときに得られる勝利点特殊能力という4つのパラメータがあります. このカードの場合、『騎士という名前』の『点数計算時に決められたページから見える事で、2点のプレーヤーに与える』、『特殊能力のないカード』という事を表しています.

 派手な効果こそないですが、癖がなく使いやすいカードです. テストプレイでも初手使用率No1の無難な1手です.

 

カードNo.2 貴族

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 上のカードが貴族というカードです.騎士と違い『自分の色以上に多く見えている色がない時、勝利点2点を得る』という特殊能力を持っています.

 『私は最終的にこのページのエリアマジョリティーを狙っていますよ』というメッセージを含んだ1手です.

 

 この2枚が関わる小さな悩みどころを一つ紹介して今日の記事は終わりです.ぜひ考えてみてください.

 

 Chronos Recordでは毎ターン1枚カードを挿していきます.

 1ターン目スタートプレーヤー(赤)がファイルの1番下のページに『騎士』と『貴族』が1枚ずつ配置されています. この状態では(ファイルが透明なので)どのページからもこの2枚のカードが見えてしまっています. このままではどのページが得点計算の対象になっても両方のカードの点が赤のプレーヤーに入ってしまいます.

 

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 貴方がこのターンに入れられるのが騎士のカードだったとして、あなたはどこに配置しますか?

 1.安定して2点を稼ぐ『騎士』のすぐ上に置き、上のページから見えなくする.

 2.条件が揃えば3点を稼ぐ『貴族』のすぐ上に置き、上のページから見えなくする.

 3. 1番下のシートに入れて貴族のボーナス条件を阻止

 4. その他

 

 尚、ページは4ページ 得点計算対象のページははサイコロの出目によって決まります.1⇒下から1番目 2⇒下から2番目 3⇒下から3番目 4,5⇒下から4番目 6振り直し

 

実際にプレイして試したい方は ゲームマーケット当日 試遊卓へお越しください