ビブリオゲームズBlog

自作ボードゲームや遊んだボードゲームのことを書いていきます

『メカニクスを分類する』が次の暗黒ゲームデザインの会のテーマらしいので

 

 

との事です 。

前回の拡大再生産の会↓が面白かったので今回も視聴する予定なのですが、放送で話者である上杉さん、arsenicさんの考えを聞く前に自分の考えをまとめておきたかったので文書化してみました。

(というより話題が大きすぎて事前準備しないと聞ける気がしない^^;)


【暗黒ゲームデザインの会】拡大再生産

 

前振り:この記事におけるゲームのとらえ方 と 方針

 

ゲームは少なくとも『人間が起こす一連の行動』の一つです

そのため、小さく区切っていくと”車の運転”等の他の行動と同じように以下のようなループが発生しています

 

(①記憶)↘

        ↑①認知→②判断→③操作➡(④反応)➡①認知に戻る

 

私はルール(やその集合体)にわざわざメカニズムとしての名前が付与されるとき、

このループのどこかで重大なあるいは複数の役割を果たしていると考えています。

 

そこでいきなりメカニクスを分類するのではなく、

1.まず、メカニクスの”役割”になりうる事をリストアップして分類する。

2.メカニズムに”持っている役割”を記載し、似ているものをグループにまとめる

(3.流行っているメカニズムの特徴から新しいメカニズムの発見やより良い改造が行うことを目指す)

 

という方針で話を進めていきます。

(時間の都合上、この記事においてはほとんどを1.の”役割”の分類に費やしています)

 

また、”ゲーム”の範囲は 会に合わせボードゲームに重点を置いていますが、デジタルゲームや謎解きゲーム等も頭の片隅には入れており

 

想定される役割

ゲームには解くべき”課題(目標)”が必要である。

そこに重点を置き、”役に立つ” を一旦以下のように分類する。

 

・課題となる

・補助する(≒他のStepに課題を置き、そこに集中できるようにする)

・課題ではないが魅力となる

 

対応するStepを大分類、上記3つの”役に立つ”を中分類、そこから思いつく具体的な内容を小分類として以下のようにまとめました。

 

1.”認知/記憶”において役割を持つ

 ※ゲームのルール自体も認知、記憶しなければならない対象としてとらえる

 

  1-A 認知/記憶の課題となる

    1-A-1 記憶できていないから答えがわからない

      例)記憶ゲーム全般

 

    1-A-2 知識がないから答えがわからない

      例)クイズゲーム全般

 

    1-A-3 ルールがわからないから答えがわからない

      例)ハグル、OWACON、問わず語りシステム等

 

    1-A-4 情報だと認識できないので答えがわからない

      例)リアル脱出ゲームのラスト謎で”これ使うんかい!”ってなるアレ

 

               1-A-5    わかりにくいUIを識別する能力を競う

      すきもの、

      青←あおと読まないといけない 等

    ※ここに分類されるか要件等

    

  1-B 認知/記憶を楽にし、他のステップに集中させる

     1-B1 視認性がいい

     1-B2 ルールの整理

     1-B3 ゲーム中に起こりえる選択肢の可視化

      ドミニオンのカードは全部、常に読めるので覚えなくてもプレイ可的な

 

  1-C 課題ではないが認知/記憶において魅力を持つ

     1-C-1 ゲームの進行に合わせて何かが完成する。

       例)枯山水の自分の庭。カルカソンヌの全体等

 

     1-C-2 人の作品を鑑賞する

        お題を出す側から見た 大喜利ゲームとか?

 

2.判断において役割を持つ

  2-A 判断において課題となる

   2-A-1 だから答えがわからない

   2-A-2 対人インタラクション(相手の考えが絡むから答えがわからない)

   2-A-3 非公開情報があるから答えがわからない

   2-A-4 長期計画が必要なため答えがわからない

   2-A-5 複雑なため答えがわからない

       ・変数(資源の種類等)が多い

       ・複数を選択するため組み合わせ爆発が起こる

   2-A-6  時間制限のため答えにたどり着けない

   2-A-7  判断というか”センス”や創作性を問われる

 

  2-B 判断を少なくする事で他のStepに重きを置く

    (デジタルゲームだとありそう)

 

  2-C 課題ではないが判断において魅力を持つ

     (思いつかない)

 

3.操作に関して

  3-A 操作において課題となる

   3-A-1 精密さ、技術を問われる

      バランスゲーム/お絵描きゲーム

   3-A-2 体力、スタミナを問われる

      ボドゲだと基本無い

  3-B 操作をしやすくし、他のステップに集中できる

 

  3-C 課題ではないが操作に魅力を持つ

 

4.ループの連続の中で役割を持つ

  4-A ゲーム中に選択の変化、拡張が可能

  4-B テンポがよくなる

  4-C 物語を感じる

 

5.その他

  お値段の問題とかそういうやつ。

 

 

<あとがき>

 メカニクスに関する考察は今まで何度もしてきましたが、昔書いた記事がもう4年ほど前になっていたためこの機会にまとめてみました。

 

boardgame.hateblo.jp

今見ると、課題に関する部分に重点を置きすぎている気がします。

 

ここ10年以上重いゲームの中心にあるワーカープレイスメントを見ても

 ・”認知/記憶”における補助

   ・行えないアクションがわかりやすい(駒が置いてある)

   ・いろいろな効果のフォーマット化

     (どんな効果もやりたいことを選んで”ワーカーを置く”で説明可能)

 

 ・ゲームの流れを変更しやすい

   ・ゲーム中の選択肢の拡張が比較的容易

 

 ・判断における課題

   ・インタラクション

   

   また、メカニズム自体が持つ課題ではないが上記のフォーマット化と拡張性による”複雑だから答えがわからない”という課題を自在に搭載可能

 

という効果を兼ね備えているように思います。

 

まだ、メカニクスの分類はこれからですが

ゲームの大枠となるメカニズムには

 

・認知/記憶の補助

・少ない数の判断の課題

  ワカプレの場合 インタラクション

  ロンデルの場合 長期計画

・複雑な問題を付与できる拡張性

 

といった特徴を持った集団があるような気がしています。