ファイルでゲームを作るには
デザイナーズノートの続きを書こうと思っているのですが、上手く文章がまとまりません.まぁ悩んでも仕方なので、「僕以外が絶対に書かない内容を書きながら練習するかな」と思っている次第です.今回のテーマは『ファイルでゲームを作るときに考えるべきこと』です.
1.ファイルのもつゲーム性について
ファイルの持つゲーム性の一つ(Chronos Recordで使用したもの)は『インタラクションの強い立体構造』です.丁寧に説明すれば『一番下のシートにカードを入れれば全てのシートから見えるが、潰されやすい.上のシートは潰されにくいが、見えるシートが限られている』というジレンマをどう使うかが鍵となります.
陣取り、拡大しない再生産、パズル、TCG(カード特殊効果)のいずれかを軸に組み立てるのが良いでしょう.
また、クロノスレコードでは使用しませんでしたが『新しい情報提示方法』としても可能性があります.ファイルはボードと違い、プレーヤー間で回す事ができます.また、(見れるのは1ページだけにすれば)ドラフトされるカードセットと違い、回っている情報の一部だけを見せることができます.パズルを軸に推理ゲーや記憶ゲーあたりを作る事も出来ると思います
他にもガッシュベルのTCGのようにプロットされた山札として使用することもできます
2.ファイルであることの魅力について
僕が感じた最大のメリットは『珍しい』とか『新しい』と思ってもらえるキャッチーさですがそれ以外にもファイルを使うメリットはあります.
1.ページをめくって状況を確認していくこと自体が楽しい
状況を確認する時間は基本的に作業であり、面白さにはつながりにくい部分です.歴史書や卒業アルバムなどに見立ててやると確認する時間自体を面白くかつモチーフを感じるものにできます.
2.立体構造を安価に作れる
同人ボードゲームの原価を労力も精神的負担もかけずに安く作るコツは発注するアイテム数を減らすことです.最低限の仕様ならボードと箱をファイル一つで賄える事は大きなメリットです.(キャラメル箱100個発注でも一個当たり150円程度しますからね^^;)
スコアボードもこんなふうにカードにして印刷してしまいましょう.
カルカソンヌのボードのように後ろに行くほどマスを小さくすれば50マスぐらいはいけるかと思います.両面をカラーにしても150円弱で得点ボードを付けることができます.
誰がどれぐらい勝っているか視覚化する必要がないならファブフィブ形式なんかも使えますね
3.既存のゲームをファイルゲーム化できる
高い評価を得たボードゲームのカードゲーム版って結構出ていますよね.それと同じような形でファイルゲーム化をする事でゲーム作りの感覚をつかむ事ができます.かなり特殊な仕様なのでまずは作ろうとしているゲームと同じジャンル同じモチーフのゲームをファイルゲーム化することで感覚を掴むのが良いでしょう
2.ファイルであることの弱点について
もちろんいい事ばかりではありません.弱点もあります.
1.プレイ時間を長くできない
ファイルゲームは『透けている』事に意味があります.従って埋まりきったり、全て抜けてしまったりしてはいけません.挿していくなら70%~80%になる頃にはゲームを終わらせるべきでしょう.
2.ほかのゲームより視認性を意識する必要が高い
同時に情報が見れない事はミスを多発させ、プレーヤーから反感を買う可能性があります.
Chronos Recordでは①色の面積やを数字大きくする、②キャラクターにかぶりが無いようにする(具体的には男:女:モンスターの比を5:3:2にするなど)、③できる限りカードを出したターンにのみ効果を発揮するカードを多く採用する等でフォローしています.
また、ページ数はカード特殊効果抜きで5~6ページが限界かと思われます.特殊効果付きなら4ページに抑えたいところです。
3.ボードの大きさを調整できない.そしてちょっと狭い
といっても3×3しかない訳ではありません.
1×2(絵葉書コレクション用)、2×2(TCG)、2×3(TCG)、3×3(TCG、名刺)、2×5(名刺)、4×5(ビックリマンチョコシール用)といったバリエーションがあります.タイル配置系を作るなら4×5等、作りたいものに合わせたシートを使ってみましょう
4.大箱サイズである
ゲームマーケットで売る際に結構ネックになるのがこれです.ゲームマーケットに搬入できる最大サイズのダンボール(縦、横、高さ合わせて160cm)に50個程度しか入りません.ほかのスペースも考えるとダンボールを積み上げたくないなら150個、積み上げても250個程度が搬入できる限界でしょう.
それ以上売りたい場合、事前に委託できる条件を販売店に聞いておくことが重要です.ないしはシリーズ化してファイルを持ってきてくれた人に中身だけ売るかですね.