GM2014秋作品レビューその1 パイレーツコード(かぼへる)
サークル:かぼへる
筆者プレイ状況:4回(基本のみ) 3人プレイ
カード14枚(4人プレイは18枚)を使った記憶型の推理ゲーム。誰にも配られていない2枚のカードを当てるのが勝利条件。
記憶型の推理ゲームには通常、『予測して外した』というルール上脱落と『うっかり情報を忘れてしまった』という勝敗上の脱落があり、それを理由に嫌っている人も多い。正直、僕もその一人である。しかし、パイレーツコードはその心配がない。『予測した2枚のカードを持っているかを順に言っていく(外してもペナルティーなし)』というルールが前者を完全に消し、(人の予測等から少しは予想できるため)後者を程よく緩和してくれている。
最後まで『自分のターンが回ってくればワンチャンスはある』という積極的な気分でプレイできる良いゲームだった。そして、その後、『くっそ、もう一回だ』と2ゲーム目を始めた。
2ゲーム目を始めてこのゲームのリプレイ性の高さを感じた。このゲームのカードに割り振られた5種類の効果は、ゲームの多様性を生むだけでなく、推理の要素にもなっている。(あれ、何で誰もあの効果を使ってこないんだ?⇒埋まってんじゃね?的な)1度目は数字や効果を覚えるのに必死で皆、てんやわんやしていたが、最後の4回目にはブラフをかます人まで出てきた。拡張やプロモカードを入れてのプレイはまだできていないが、今から楽しみ。
ゲームシステムの話ばかりしてきたが、かわいいドット絵も魅力的。取説、サマリーも丁寧でボードゲーム初心者にも安心してお勧めできる。
これはやっておくべき。GM2014秋新作
1.ひつじとどろぼう
spec: 2~4人、約30分
サークル:Power9Games(E41,42)
内容: タイル配置+ドラフト
筆者状態:テストプレイ版プレイ済み.ただ、その後得点計算に変更があった模様。
ドラフトしたカードを配置していくありそうでなかったゲーム。覚えるべきアイコンは4つのみとゲーム慣れしていない方でもプレイしやすい。その一方で『家から町へ道をつなぐ』、『川をつなぐ』、『ひつじを増やす』、『どろぼうによる妨害』、『それへの対応』等考えどころは多い。初~上級者まで楽しめる良いゲーム。
ドラフト部分の計画性と狂った後の計画調整能力が問われる。あるカードをカットする事が防御にもなる等2つのシステムが思った以上に繋がっているのも〇。
コンポーネントのひつじ駒やタンサンさんのアートワークもなんかかわいい。
spec: 1~4人、5~10分
サークル:こげこげ堂本舗(F02)
内容:フィラー(超短時間ゲーム)
筆者状態:2回プレイ済み(3人)
最後まで残した2枚の手札で点数を競い合うというかなりとがった短時間ゲーム。プレイした時は5分強で終わりました。
このゲームを成立させているのが『配れらた6枚の中からまずは2枚を捨て、残った4枚選び全員で見せ合う』というルール。相手が残すであろう高得点の組み合わせを読んだり、得点に大きな影響を与えるカードでの誘導、牽制したりと色々な読み合いが発生する。
1人用ルールまでついているようなのでそちらも期待。
カードゲーム制作の基本1:ドローの強さ
ドローするためのカードは非常に多くのTCG、テキスト系カードゲームで採用されている。理由としては
①ゲーム進行による選択肢の減少を防げる
②コンボデッキ等特定のカードを引かなくてはならないデッキを助けるという効果がある
あたりだろうか
ただ、(主に同人の)カードゲームをプレイしていると強すぎるドローカードに出会うことがある。 そして多くの場合、戦術性、競技性という点で面白さが減少していたり、運ゲーと言われていたりして正直ちょっともったいない. そこで今回は自分の頭の中の整理もかねてその強さを理由つきで説明していく.
コスト無し複数枚ドローの強さ
MTGにAncestral Recallというカードがある。その効果は『コスト1 カードを三枚引く』というシンプルなものである。 しかしこのカードはPower9(マジック黎明期におけるあまりに強大な力をもった9枚)の一角、つまりは非常に強すぎて禁止カードになっているのだ。
この強さを説明するために、共通山札を使う架空のゲーム『ボクシング』の開発過程を考えてみよう。
このゲームでは 手札にあるカードはノーコストで何枚でも使う事が出来る。開発はカードの強さを評価しながら進められており、『右ストレート』という威力10のカードが山札全体の平均的な強さと判断されているとしよう。 ここに『セコンドの指示』という『山札から3枚ドローする』カードを1枚だけ追加した場合、このカードは右ストレート何回分の威力だろう?
単純に考えれば、右ストレート3発分である。その上、コンボが出しやすくなる、選択肢が増える等のメリットまで考えれば5~6発分にはなりえる。非常に残念だがこのゲームに関していえば、『セコンドの指示』はボツにした方が良いだろう。もし、あなたのゲームがノーコストでカードを使えるなら同じことがいえる。
カードレベルでの調整
逆にいえば、コストがある場合は調整可能である。上で例に挙げたMTGの場合は、カードを使うのにコストがある。なのでコストを4に上げて調整した3枚ドローカード(集中)は存在する。また、ドミニオンの鍛冶屋はアクションポイントを消費する上、ターンの最後には手札がリセットされるので使用禁止になるほどの強カードにはなっていない。
また、遊戯王において強欲な壺(カードを2枚引く効果)は禁止カードだが満たすべき条件やデメリットを付けた下位互換のカードは存在する。
ルールレベルで調整を試みる
ゲームのルール上、カード消費が激しい、特定のカードを絶対に手に入れさせたいといった理由でドローカードを採用しようとしているなら、ルールレベルでもっとカードが引けるように調整した方が良い。カードを作るときにシステムの弱点を意識する必要があると正直疲れる。
従来のTCGに採用されているルールには以下のようなものがある
- バディファイトにおいては1ドロー後に手札を1枚捨てればもう1枚引いてくることが出来る。他に単純に2ドローのカードゲームも多数存在する。
- デュエルマスターズではダメージを与えられたときにカードを1枚手札に加えることが出来る。
- MTGの統率者戦等では、手札とは別に常に使う事の出来る領域が存在する。また、いくつかのTCGのデジタルゲーム版では最初の手札に絶対に来るカードを設定することが出来るものがある。
- 極端な例であるが、アルテイルにおいてはデッキは全て手札である。展開が同じになるのを解消するために、デッキの半分は全て手札もう半分は除外というルールを採用したTCGも存在する。
追記
上に書いたことを当たり前のように知っている人でも、手札を消費せずに使える(≒捨て札から使える)カードは軽く見すぎてしまう事がある。
例えばMTGに獣群の呼び声というカードがある。これはパワー3、タフネス3のクリーチャー(ようするに中型の戦闘要員)を1回目はコスト3、2回目はコスト4で出すカードである。コスト3でこのようなクリーチャーを出せるという効果は大会で使うには少し物足りない。しかしテンポよく2回使えるという点が評価され多くのプレーヤーに使われた。
何回でも使える場合、これよりもさらに強くなる。例えばMTGにブーメランという2コストの呪文がある。これに『使った後手札に戻ってくるようにできる』効果を追加したカード転覆は6コスト(正確には3コストで捨て札に置くか6コストで手札に戻すかを選択できる)である。
ロストレガシーレジェンドをいくつかやってみた その2
③宇宙の真理
作者:寺島さん(遊星からのフリーキック)
場に伏せてある数字の合計が高いほうが勝ちという異色のルール。そのため通常5番のレガシーが42番になっている。
ただ、レガシーを見つけた人がほぼ勝つ構成になっているので、プレイ感は通常のロストレガシーの範囲内だった。次やるときはレガシーを見つけずに勝つという事にチャレンジしたい。
④人狼は眠らない
作者 中村誠さん
ジャンル:人狼入門
ワンナイト人狼やシークレットムーンとはまた違ったタイプの人狼入門。
プレイした感覚としては論理重視度は
会話重視度は
ワンナイト >> 人狼は眠らない >> シークレットムーン
といった感じ。
⑤最終決戦
作者:カナイセイジ
ジャンル:2人用LCG(TCG好き用カードゲーム)
1人16枚のデッキを使い戦うTCG風ゲーム。不死の心臓、ヴォーパルソードといった今まで出てきたレガシーを奪い合い、その能力を駆使しながら勝利を目指す。
もはやロストレガシーではないが、TCGが好きなら絶対にやっておくべき。
ロストレガシーレジェンドの4500円という値段は決して安くはないが、これとあと1個か2個気に入ったものがあれば買っていいんじゃないかと思う。
ロストレガシーレジェンドをいくつかやってみた その1
秋葉原RPGショップにて行われたロストレガシー祭り2014に参加し、一足先にロストレガシーレジェンドを体験してきました。
8個ゲーム全てをプレイできたわけでは無いですが、購入の参考になれば幸いです。
①偽典
ジャンル:記憶系推理ゲー
作者:転がる運命(さいころ)亭 まことさん
通常のロストレガシーでは遺産(5番のカード)を探す事が勝利条件ですが、この偽典では遺跡にあるカードを全て当てる事が勝利条件。
メモを取らない推理ゲームとしてはカードの種類が9種類と多く、展開に多様性があるので面白い。
最初は記憶できるか不安だったが、①(カードが表向きで出てくるので)覚えておかないといけない事柄が少ない、②常に2択だからテンポよく進む、③ルールやカード構成がロストレガシーだからカードの記憶だけに集中できる という特徴により、記憶ゲーが苦手な私でも手軽にプレイできました。
②赤ずきんは2度寝る
ジャンル:ロストレガシー+ブラフ要素
混ぜては遊べない内容ですがルールはしっかりロストレガシーです。このバージョンの売りは裏向けカードによるブラフ要素。
相手が裏向けに出したカードが勝利するためのカードなら襲撃して止めないといけませんが、もしかしたら罠(襲撃すると脱落)かもしれない。そんな読み合いのゲームでした。
その2と写真はそのうち公開します
ゲームマーケットに向けて宣伝をしよう
秋のゲームマーケットの情報もだんだんと出てきましたね.そろそろ早期入稿締切の頃かと思うので、サークル主催の方々はそろそろ制作から宣伝へとシフトしていっている頃かと思います.
うちも半年前はどうしていいかわからず苦戦したので、宣伝に関して思ったことを書いていこうと思います.
1.自分のブログの記事を更新しよう
当ブログは4か月にわたって17回程更新しました.(ゲームデザインに関しての記事も含めて)
多く読まれた記事Top5は以下の通り.
- 予約開始
- ゲーム概要
- カード紹介その1
- モチーフ重視の説明
- コンポーネント完成
予約開始はやっぱり強いですね.予約をした人が(自分はもう確実に手に入れられるので)紹介してくれるという二次的な効果も見られたので、初参加で数を売りたい場合は必須の気がします.(あと精神的にも楽です.)
思った以上に効果的だったのが④モチーフ重視の説明 と ③で行ったジレンマの紹介(練習問題的なもの).逆にあまり効果がなかった印象なのは説明書の完全公開でした.
文字主体の長い文章はやはり読む気にならないようです.絵を大目にサマリーがあるならそちらの方が良いかもしれません.
ただ、どんなに頑張っても文章だけでは限界があるようです.うちの場合、『カードの内容』、『独特のジレンマ』を紹介したいという気持ちが強すぎて実際よりも運の要素が少ないゲームに伝わってしまったのが反省点です. 動画を使ってこの辺りをフォローするとプレーヤーとのずれが減りそうです.
2.twitterを使おう
定期tweetは行わず、記事を書いたあとにその事を呟いていました. あとは予約締切まであと少し等の重要事項とか.
宣伝効果以上に140字でゲームや記事の説明する経験はGM当日のプレイ卓でも大いに役に立ちました.(具体的には『歴史改竄』という言葉を使ったほうが興味を持つ人が多いという事を理解してカタログやその後のブログの記事、インストで全面的に出していくように軌道修正しました.)
ハッシュタグは途中から(ゲーム全体に関わる記事に限定して)使い始めましたが効果がありました.たくさん種類があるので全部つけてしまったりもしましたが、#ゲムマ一つにして説明に文字数を使ったほうが効果的でした.
3.ゲームマーケットブログを更新しよう
当サークルでは以下の通り3回更新をさせていただきました.
①書き込めるようになって1週間:ゲーム概要
②GM一か月前GW:予約開始+ルール詳細
③2日前:コンポーネント+持ち込み部数+ターゲット
結論から言うと、かなり影響度は大きいです.更新当日にはゲムマブログの記事のリンクからこのブログに1日100~200のアクセスがありました.
ただ、逆に月1以上の更新は必要を感じませんでした.あまり、長い文章を書いても情報収集の邪魔になるだけなので『短い文章+画像』を使って紹介し、具体的な事は自分のブログでというのが一番良いようです.
4.テストプレイ
色々な宣伝をしましたが、一番影響が大きかったと思います.『○○さんが面白いと言っていたのを聞いて興味を持ちました』と言われる方もかなりいらっしゃいました.
うちは前日が仕事で参加できませんでしたが、前日プレイ会なんかは特に効果的なようです.
ドロマイワークショップ 2014/08/03(その1)
8/3は紀伊国屋 新宿本店で開催されたドロッセルマイヤーズワークショップへ行って参りました
たった4時間という時間の中でゲームを一つ(正確にはルール部分+題名)を作ってしまおうというイベント. 多数決を使って全体で一個のゲームを作るのが特徴的なワークショップです.
今回のテーマは『禁酒』.
『この中に禁酒した事ある人いますか?』的な導入の質問をするも誰も手を上げない状態だったため、 今回はいきなり『何が一番重要だと思うか≒コンセプト』から開始.
(尚、これ以降の内容はゲーム作りに集中しているため全て記憶によるものです. 抜けや時間の都合で言えなかった自分の案等が入っているかもしれませんが予めご了承ください)
大枠(最も重要な事)決め
1(健康などのための)禁酒関連
1-1 感覚に着目した案
・飲めなくて辛い感じ
・わかっちゃいるけどやめられない
1-2ゲーム内容(プレーヤーは誰で何をするのか)関連
・はしご酒しようとするアル中を捕まえる
・アル中を治療する
・隠れてこそこそ飲む
・同僚の誘いをうまい言い訳でかわす
2 禁酒法関連
・密造酒を作って売る
・密造酒を作ってるやつを告発、逮捕
3 その他
・酒が飲める年齢かどうか等
先入観がなかったのか、良くも悪くも幅広い案が出た上で人の案の亜種が出てきた印象。
方向性決定
大枠は『はしご酒しようとするアル中を捕まえる』に決まったがこれではまだいろんな解釈がある.
そこで『①プレーヤーは何』、『②目的は』、『③阻害要因は?』の3つの設定を考えていく.
例えばこんな感じ
<うちの案>
①プレーヤーアル中かつ医者.
②できる限り好きな種類の酒を集める.
(移動は該当する店カードを出す)
③対戦相手の行きそうなところに自分の医者を行かせ、阻害
(バッティングを避ける方とあてに行く方の両方をやるイメージ)
<多数決で選ばれた案>
①プレーヤーはアル中. 共通NPCあり
②できる限り好きな種類の酒を集める.
(移動はマップ中を移動)
③医者を好きな方向へ動かし、阻害
<その他の案 組み合わせは忘れたので一気に>
①プレーヤーの立場(印象に残った順)
アル中VS医者のチーム戦
アル中
医者
<全体的な感想>
全体的に非対称のデザインが多かった印象. やっぱ2つの立場があると非対称の案出てきやすいね.(人狼とかスコットランドヤード人気の影響かな?)
『バランス取るのが難しい』、『不満が出やすい(俺の実力じゃなく選んだ陣営の弱さで負けた!的な)』、『やられた事をそのままやり返せないため初心者の上達が遅い』という理由から非対称のデザインは作った事がないのだけれど挑戦しないのももったいないかなぁ?
②目的
医者 :アル中全て捕まえる
アル中:店を全て回る.
多くの酒を飲む(多くの種類を飲むほど良い等)
<感想>
『店を全て回る』という目的が多かったけど、最後の一軒で待ち伏せするだけで積むなぁという印象.
そして禁酒というテーマどこへ行った! まぁ、何かを我慢するより景気よく得点する方が(カジュアルなゲームの範囲であれば)楽しいので正解なのだろうけど.
③阻害要因
だいたい②の逆なので省略.この項目いらんかったんとちゃうかな?
思ったより長くなってしまったので一旦この辺で.次はプロトタイプ作成、テストプレイ、改良です